『レ・ミゼラブル』の楽しみ方<99 映画化> |
1907年の映画が、どこで作られた、どんなものか、資料は全くない。
記録に残る、いちばん古い作品は、
1909年(スチュアート・ブラックトン監督、モーリス・コステロ主演・アメリカ映画)、
1913年(ハーバート・ブレナン監督、ウイリアム・E・シェイ主演・アメリカ映画)、
1913年(アルベール・カペラーニ監督、アンリ・クラウス主演・フランス映画)
と、無声映画時代に続けて作られたが、日本には入って来なかったようだ。
1918年『レ・ミゼラブル』(フランク・ロイド監督、ウイリアム・ファーナム主演・米)、
1925年『噫無情』(アンリ・フェスクール、ルイ・ナルパ監督脚本、ガブリエル・ガブリオ主演・仏)。
どちらも日本語の題名が付いていることから、日本でも公開されたようだ。いずれも大正時代、無声映画である。
1929年 The Bishop's Candlesticks(ジョージ・アボット監督、ウオールター・ヒューストン主演・米)は、題名から『レ・ミゼラブル』の映画化作品と思われるが、日本語の題名がないところから、日本では未公開か。
トーキー時代になって製作された、
1934年『レ・ミゼラブル』(レイモン・ベルナール監督、アリ・ボール主演・仏)三部作は、もっとも原作に近い完璧さの大作といわれる。
アリ・ボールは、サイレント映画時代からのスターで、『舞踏会の手帖』等で日本でもファンが多かった。
1935年『噫無情』(リチャード・ボレラウスキー監督、フレドリック・マーチ主演・米)。
フレドリック・マーチは、私たちの世代であると、『セールスマンの死』の主人公ぐらいしか思い浮かばないが、戦前のアメリカ映画界では、演技力のある美男俳優として、人気抜群であった。後年、『情婦』の弁護士役をつとめるチャールス・ロートンがジャヴェール役で、スチール写真で見る限りでも、恐ろしそうである。
その後、
1943年のメキシコ映画(フェルナド・リヴェロ監督、ドミンゴ・ソレール主演)、
1944年のエジプト映画、
1948年のイタリア映画(リカルド・フレーダ監督、ジーノ・チェルヴィ主演)
とあったようだが、詳細不詳。
1952年の映画(ルイス・マイルストン監督、マイケル・レニー主演・米)は、どうしてか、日本では公開されていない。
1957年『レ・ミゼラブル』(ジャン・ポール・ル・シャノワ監督、ジャン・ギャバン、ベルナール・ブリエ出演・フランス映画)は、カラー映画、上映時間3時間50分の大作で、日本公開版は3時間40分の短縮版である。
その後、1978年『レ・ミゼラブル』(グレン・ジョーダン監督、リチャード・ジョーダン主演・イギリス映画)
1982年『レ・ミゼラブル』(ロベール・オッセン監督、リノ・ヴァンチェラ主演・フランス映画)があるが、日本で公開されたのだろうか。